2011年8月3日水曜日

杉浦醫院四方山話―66 『虫捕りと秘密』

 迷走台風が抜けた後、8月になってもカッとした夏空と日差しが戻らない甲府盆地ですが、そんな気候に痴ほう症状も重なり、学校は「夏休み」に入っていることなどすっかり忘れて、今朝、高校生の奈美さん姉妹がひょっこりボランティアに訪れた際、開口一番「今日は火曜日だけど二人とも学校は休み?」の大ボケで、恥ずかしい限りです。
 夏休みと云えば「虫とり」に明け暮れた少年時代ですが、面白いゲームに囲まれた現代っ子に杉浦医院庭園の<秘密>の一つを夏休みプレゼントに公開しましょう。
下の写真は、昨年の夏、杉浦医院庭園の樹木で撮影したクワガタやカブトムシです。
 「昔は、もっと大きな樫やクヌギの木がありましたから、夜はたくさんの昆虫が飛び込んできました」「自分だけの秘密の木にしていたようで、採りに来る子は限られていました」「男の子は、この先の葦間にもよく秘密基地を作って、隠れていましたね」と純子さん。
純子さんの言うとおり「虫とり」と「秘密」はセットでした。自分だけの秘密の木や場所を密かに「秘密基地」のように思い込んで自己満足していました。高校生になって「湯村山の石切り場の手前の・・」と自慢すると「あそこは、俺の秘密基地だった」というのが数人現れ、みんな勝手に「俺だけ」と思い込んでいたことが分かりました。
このしょうもない男の<秘密>願望は、大人になっても「虫屋」と称して、世界中に昆虫採集に出掛けては「女より玉虫の方がよっぽど綺麗だ」と密かにコレクションを楽しんでいる学者や「虫」から「山菜」や「キノコ」に乗り換えて、季節には秘密のルートを辿って、採集に励んでいる身近な方々まで、後遺症として残っています。まあ、自然相手の後遺症なら市民権も得易く「いい趣味ですね」ですが、夜の街に必ずある怪しげなネオン「○○秘密クラブ」「秘密交際××」に惹かれ、足が向くアンダーグラウンドな後遺症は、後ろ指をさされたり、怖い思いをしたりと自己責任とは云え、困った後遺症でしょうか。そんな後遺症も含めて「虫捕る子だけが生き残る」という子育て本が編まれる現代、樹液と虫の関係や力を入れすぎると足がとれたり、弱いと逃げられたりといった虫を捕ることで覚える知識や鍛えられる感覚は、電脳社会を生きる子どもにこそ必要なことは確かです