2011年7月21日木曜日

杉浦醫院四方山話―62 『紙芝居』

今月の社会教育委員の会議は、杉浦醫院2階の座学スペースで行われました。町の新たな社会教育施設ですので、社会教育委員のみなさんのご意見やご指摘をたくさんいただきたく、地区や団体のみなさんを杉浦医院にお連れ下さいとお願いしました。思えば、10年前、社会教育委員の県外研修会で、長野市の宮入慶之助記念館に行き、昭和の旧杉浦医院の保存を文化財審議会共々社会教育委員の会議で、当時の教育長に要請したことも思い出されました。
 社会教育委員のみなさんが、当館紹介DVDを鑑賞中に坂本泉さんが、造形教室の生徒さん2人と「消えたホタル」の手づくり紙芝居を持参して来館しました。
 坂本さんは、海外の作家を山梨に招聘し、滞在中制作した作品を山梨で発表するという「アーティスト・イン・レシデンス」活動の代表として、アトリエとアパートとギャラリーを兼ねた≪ギャラリー・エアリー≫を実家の病院を改装して運営しています。こういう国際的な活動を人知れず続けながら、自らも現代美術作家として作品を発表し、押越で造形教室を主宰しています。中央公民館の階段ギャラリーに教室の子どもたちの絵画を定期的に展示してくれたり、町在住外国籍住民の日本語教室のボランティア講師を務めるなど多才な行動する作家です。その坂本さんが「行動する絵画」として「紙芝居」を取り上げたのは必然でしょう。少年時代観た紙芝居は、おじさんが一人で大勢のガキと向き合い、ガキの反応を見ながら、絵を徐々に引き抜いたり、声色を変えたり、鳴りモノを入れたりの演出力で集客していました。その点テレビは一方通行で、紙芝居の持つ双方向性と一体感に欠けますから、時代は変わっても「面白い」はずです。紙芝居の素材は、「絵」と「物語」だけでなく「演者」と「客」も重要な要素であることをあらためて実感しました。
 5時ちょっと前に終わった会議の参加者に「入口の旧待合室で子どもが紙芝居を用意してくれていますので、お急ぎでない方は是非見てやってください」と案内しただけで、全員の方が所狭しと座り、二人の女の子は大人を客に一生懸命演じました。今日が初舞台という二人ですが、自分の書いた絵に合わせ堂々の演出力、それを引き出す観客の社会教育委員の観賞力も流石で、昭和4年築の建物も紙芝居にマッチし、紙芝居の本質を楽しめた飛び込み「紙芝居会」で散会となりました。