2019年1月7日月曜日

杉浦醫院四方山話―566『謹賀新年』

 あけましておめでとうございます。

今年も玄関受付で来館者のお迎えは、橋戸夫人制作の干支人形です。


 昭和町風土伝承館杉浦醫院は2014年4月1日に本オープンしましたから、今年は5年目の節目の年を迎えます。おかげ様で県内外から多くの方々にご来館いただき、国内唯一の日本住血吸虫(地方病)終息の歴史を伝える資料館として認知され、様々なメディアを通して周知もされてきましたことにこの場を借りて御礼申し上げます。

開館5周年を機に一層充実した資料館となるよう心新たに取り組んで参りますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


 さて、本年初の見学者は期せずして前話重なるお二人で、一段と冷え込みも増した昨日、開館早々「見学もですが話を聞きたくて来ました」と来館目的が話のようでしたから、応接室のストーブをつけお二人のお話を伺いました。

話を要約すると・・・山梨県内で生まれ育った来館者も子どもの時、地方病に罹り「注射を40本して治った」そうですが、その弟さんは鎌倉市で生活して40年近く経つが、ここにきて体調を崩し、入院したところ大腸から寄生虫が検出されたそうで、山梨県出身ということで、その寄生虫が日本住血吸虫ではないか?と云われたようだけど、鎌倉の病院ではハッキリしないので聞きに来た・・・と云う事でした。


 山梨県内でも「地方病」について、どこの病院に行って相談すればよいのか分からない状況は確かにありますから、来館者の母娘が当館の開館を待って相談に観えた心中は察しが付きましたが、名称こそ「杉浦醫院」ですが資料館ですから臨床医のようなアドバイスを期待されても無理であることを伝え、その上で「先ず100パーセント日本住血吸虫では無いと思います」と終息の歴史の中で明らかになっている諸例を根拠に話しました。


 折しも今月末の31日(木)に北里大学寄生虫研究室の皆さんが見学にみえるのに合わせゲスト講師に加茂悦爾先生をお願いしてあるので、その辺の具体的な対処など加茂先生に相談するのがベストであることを伝え納得していただきました。


 あらためて前話での倉井先生の同僚でもある現在の医師へのご指摘

『感染症が制圧されることはすばらしいことであるが、診断を想起できる医師が減ることは事実である。目の前に住血吸虫症の患者が来たら、あなたは診断することはできるだろうか?日本住血吸虫症という疾患に苦しんだ患者が数多くいたという事実、戦いの歴史を私たちは忘れてはならない』

の重みは、現実として進行形であることを本年初来館者が教示してくれた年の初めでした。