2019年1月11日金曜日

杉浦醫院四方山話―567『身延線唱歌』

 山梨県知事選挙が告示され4人の立候補者が選挙戦に入り、暫くは知事選がらみのニュースや話題が続くことと思います。

確か数か月前は「富士登山鉄道構想」が争点のように話題になっていましたが、本日の山日新聞「4候補の第一声」報道では、具体的にこの構想実現を訴えた候補者はいなかったようです。

  まあ、この構想は、世界文化遺産に登録された富士山をもっと集客につなげようという観光政策でしょうが、現在の有料道路・スバルライン上に鉄道を敷いて、車より環境への負荷を小さくして世界遺産にふさわしい富士山、山梨県にすると云う大義名分もありますから、今後の展開を見守りたいと思います。



 そう云えば、現在の身延線も前身は「身延登山鉄道」だったと聞いていますから、「富士登山鉄道構想」も単に河口湖から五合目までの往復鉄道構想に限らず、河口湖から五合目を経由して沼津あたりに繋がる構想もあっていいように思います。

 

 それは、身延線が山梨県と静岡県を結んでいることから、富士宮市の文化団体が「身延線唱歌」を作製して、地域の活性化を図っていると云う話を数年前聞いたことにもよります。

 この唱歌は、「汽笛一声新橋を♪」で有名な「鉄道唱歌」を模して、富士駅から甲府駅までの身延線各駅の歴史風土を紹介をしていますが17番まである歌詞も7番以降は山梨県内の駅で、最後の歌詞は「山梨静岡両県の明るく平和な郷づくり 身延線とともに栄えあれ」と結ばれ、身延線が両県民を結んでいることを謳いあげています。



                7                         

 稲子で駿河を後にして

 甲州十島よいところ

 昔は身延路御番書で

 今は電車で自動車で

 

8

 井出ては寄畑内船へ

 南部の火祭り空焦がす

 奥州南部の祖の地なり

 威風は今に伝えらる

 

9

 身延の駅に降り立ちて

 日蓮宗の総本山

 五十の塔の再建に

 枝垂桜木花添える

 

10

 信玄公の隠し湯の

 下部で疲れ癒されん

 湯の奥甲州金山は

 武田氏支えた軍資金

 

11

 市ノ瀬 久那土 甲斐岩間

 印章で名高き里にして

 向かいの西島和紙づくり

 書家の望み叶う町

 

12 

 視界が開けて鰍沢

 舟運の名残り今は無く

 敷かれし鉄路に拠るところ

 甲駿交流夜明けなり

 

13

 市川大門花火まち

 知恵の文殊は甲斐上野

 團十郎の出たところ

 ゆめゆめ共々忘れなん 



14

 笛吹川を打ち渡り

 見よや果樹やら野菜やら

 果樹王国と謳わるる

 甲府盆地の花輪なる

 

15 

 四方の山に目をやれば

 雲突く山脈(やまなみ)いや高く

 老樹の深き善光寺

 石和の湯けむり指呼の間

 

16 

 終点甲府は中央線

 乗り継ぐ人も数多く

 躑躅ヶ崎の夢のあと

 武田の遺跡守れかし

 

17

 時は人を替えれども

 山梨 静岡両県の

 明るく平和な郷づくり

 身延線と共に栄えあれ

 身延線と共に栄えあれ

 

事務室の扉に掲示してある「身延線沿線が楽しいポスター」には「じょうえい」駅に、杉浦醫院が入っています。

 

とかく縄張り意識が強いのが甲州人の特性と指摘され「山国根性」とも揶揄されますが、子どもの頃私も身延線が県都・甲府行きが「下り」で、富士行きが「上り」が解せませんでした。反面、中央線の新宿行きが「上り」は素直に納得していた訳ですから、矢張り立派な「山国根性」少年だったのでしょう。

 

 この折角の「身延線唱歌」も山梨県内ではあまり知られていないように思います。

先ずは身延線の電車内で控えめに流すことで利用者から自然に広まるように思いますが、御多分に漏れず身延線乗客もイヤホーンを耳に自分の世界に浸っている方が多いので無理かなあ~