2014年10月22日水曜日

杉浦醫院四方山話―372『有楽流・秋の茶会-2』

 床の間の次ぎは、実際に茶を点てた今回の茶道具をご紹介します。

2年前の11月に開催された茶会では、座敷に炉が切られ、五徳の上に茶釜が設えてありました。

 今回は、ご覧のように炉は無く、風炉に茶釜です。この違いは、茶会が開催される月によって違ってくるようで、これも客人への細かな気配りの一つです。

11月から4月の寒い季節には、炉に炭を入れ暖をとれるようにし、5月から10月の暖かい季節には客人から炭を遠ざけるよう風炉を使うという「おもてなしの心」が、炉と風炉の使い分けになっているようです。

ですから、同じ秋の茶会でしたが、前回は11月25日に開催したことから炉を使い、今回は10月19日でしたから、風炉を使ったという茶道正傳有楽流と云う名称どおり「正傳」に則っていたわけです。

 

 この風炉と釜は、純子さんが有楽流の一線を退くにあたり、有楽流山梨支部に寄贈したものだそうですが、この風炉は形から「窶(やつれ)風炉」と呼ばれ、風炉の欄干や口縁部などが破損したり、欠けたような形になっていることから、欠風炉(かけぶろ)、破風炉(やれぶろ)などとも呼ばれているそうです。

 鉄製の風炉は、腐食で口縁部などが欠け落ちても茶人はそこに「風情」や「枯れ」などの深みを見出し、そのままか割れを継いだりして、その「詫びた景色」を愛でたのでしょう。

江戸以降は最初からやつれたものを作り、欠けた所から炭の暖もほのかに取れることから10月の名残のころには、この窶風炉を使うのが正統のようですから、5月から10月の風炉の季節でも開催月によって違う風炉を使うと云う茶道の「深さ」に驚いてしまいます。

 

 また、風炉の先にある「風炉先屏風」にも有楽流の桐の紋が彫られていたり、手前の「水差し」や「なつめ」「茶杓」など細かに観ていくととても書き切れませんので、これらの茶道具を使って清韻亭で開催された秋の茶会の雰囲気を写真でご鑑賞ください。