2018年5月30日水曜日

杉浦醫院四方山話―542『今年のホタル』雑感

 昭和町源氏ホタル愛護会主催の「ホタル夜会」は、既に21日(月)に終了しましたが、今日(30日)の山日新聞一面に「身延町一色のホタル」の発生を伝える記事と写真がありました。

今年も夜会開催日は愛護会の役員会で協議して決めましたが「今年は桜の開花や散りも例年より10日早かったので、ホタルのピークも10日くらい早くなるのでは・・・」で一致し、去年より10日早い21日の設定になりました。

 

 しかし、当日は池には3匹程しか舞わず、裏のホタル小屋には1匹も光っていませんでした。

「ホタル夜会」の主役はホタルですから、肝心なホタルが・・・・と数日前から不安でしたが、案の定の結果で、「オカリナーズ」と「笑和太鼓」の演奏がメインの夜会となり残念でした。


 山日の記事には、一色では今年のホタルの発生が例年より10日ほど遅れ、ピークは6月にずれ込むようだとあり、それは「4月の日中の気温は高い日が続いたけど夜になると気温が低かったのが原因」と一色ホタル保存会の会長は分析していました。


 ここにきて、裏のホタル小屋にも数匹のホタルが舞い始めましたから、一色の10日遅れからすると杉浦醫院のホタルもこれからが最盛期を迎える可能性も十分あります。


 一色の佐野会長の指摘する4月の夜間の低温は、確かにホタルの発生には大きく影響したのでしょう。ホタルは水中で大きく成長した幼虫が4月に上陸しますが、幾ら日中の気温が高くても夜、雨が降って高い気温にならないと陸に上がりませんから、桜と一緒にしたのは早計だったのかもしれません。


 そういえば、「バカの壁」の著者の養老孟士さんは、都市化された現代人の考え方は「あーすれば、こーなる」で、そういう考え方の現代人が作る社会を「予測社会」と規定していました。

そこから人間は人工物で満たすことを良しとして都市化を進めた結果、ますます身体で考えるより脳で考えることが一般化し、今回のように「桜が早かったからホタルも早くなる」思考が当然となって不思議ではなかったのでしょう。

 

 それは、子育てでも「あーしてもこ―ならない」現実を知っているのにホタルも幼虫を飼育して放流すれば、季節になれば舞い飛ぶだろうの「あーすれば、こ―なるだろう」思考が、本当は問題だと云うことを養老氏は警告しているように思いました。

つまり、何が起るかわからない「先の事」を全て「今」の情報で予測して安心を得るのが現在を生きる私たちの当たり前の考え方になっているけど本当は違うよ!と言っているのでしょう。


そういえば、今年の4月の夜風は昼との落差もあってか冷たかったなあ~と思い出せます。

ホタルの自然発生を待つ「一色ホタル保存会」と放流したホタルの発生を予測する「昭和町源氏ホタル愛護会」では、都市化の著しい昭和町の方がより「あーすれば、こ―なるだろう」思考が強くなっていることは確かでしょう。