2017年12月4日月曜日

杉浦醫院四方山話―525『庭園池工事の全容』

 当館の庭園は、オープン前の整備工事から「鈴木緑化土木」の親方とお弟子さんの手で行われてきました。親方は「この庭は、公園や街路樹の剪定とは違うので、センスのない職人が入ったらせっかくの庭が台無しになってしまうから」とよく弟子にも話していました。
 今回は、定期的な選定作業とは別に「前から気になっていた」という池の水周り工事が行われました。親方は「私もこの歳になると、この工事は誰がしたの?と後世聞かれるようないい仕事を採算度外視でするつもりだ」と前から言っていたので、気合も半端ではありませんでした。

 「この池の石は、さりげなく置いてあるけどみんな凄い石だから負けない石を探さないと、ここだけ浮いてしまうから」と、予定していた水受けになる石が大きすぎることから丁度良い大きさの石を運び込み、機械と手作業でその石の上部を水が受けられるように堀ったり刻んだりの作業から始まりました。「植木屋さんと云うより石工ですね」「庭に関係することは何でもやるさ」と自ら納得いく深さ、広さ、滑らかさまでの作業が続きました。

 

 メインとなる水受け石が完成すると以前からあった水受けを「これも活かさんと」と移動して、その下に設置しました。「この石に合わせて新たに池を掘って、石を積んでいくから」と、トラックに積んできた石を一個一個設置していきました。
「石には必ず勢いのある面があるから、その勢いを殺さないように生かしてやるのが大切だけど、数やらないと勢いのある面が分からないんだよ」と、一個置いてはあちこちから眺め納得いかないと違う石に変えたりと親方が頭に描いている設計図に従って、試行錯誤しながらも次々石が積まれていきました。




こうして、持ち込まれたたくさんの石が過不足なく納まり、むき出しだったポンプや配電盤も隠れ、新たな水周りの概要が現れて、やっと「なるほどこの為の石だったのか」と素人にも分かりました。「新しく持ってきた石も周りの石と全然違和感ないでしょう。前からあったように出来なくちゃ金は取れんよね」と、親方も先が見えて満足そうでした。
「前はこの一帯がぐちゃぐちゃしていて気になってしょうがなかったけどホタルの事もあるからしょうがないかなと思ってたの・・・でもね、やっぱり水周りはすっきりしておかないと庭木の見栄えも悪くなるから。最後には母屋の座敷周りと同じコケを貼って、水周りに合う木を植えてホタルも喜ぶように完成させるから」と、頭の中の完成予定図も語ってくれました。
新たに川上石の砂利も敷き込み、今回の庭園工事は終了しました。「苔の中に生えてくる雑草は、スプレーを一本用意しておいて葉から入る除草剤をピンポイントでかけてやれば草一本生えない苔の水周りになるから、しっかり頼むよ」と、手入れ方法まで伝授していただきました。
ご覧のようにすっきり一新された池と冬枯れ一歩手前の庭園を観賞にお気軽にご来館ください。