2017年2月6日月曜日

杉浦醫院四方山話―494『ピアハウスしょうわ』

 今日の朝日新聞山梨版の「会いたい」のコーナーに「ピアハウスしょうわ」の運営に尽力している永島聰さんが紹介されていました。

旧西条交番の建物をいわゆる「ひきこもり」の方々のフリースペースとして利用して、交流と社会参加を促すよう図っていますが、永島氏個人による永続的な運営には無理もあり、その辺の悩みも紹介されていました。旧交番がひきこもり支援スペースと云うのも面白いのですが、交番は文字通り2~3人が一組で24時間交代で番にあたる所でしょうから、「ピアハウスしょうわ」もこれにならって利用者の交代制による運営も視野に入れていく必要もあるようです。


 

 永島聰さんは、数年前の山日新聞のシリーズ記事にも「元ひきこもり」として実名で登場しましたが、今回の朝日新聞でも自らのひきこもり歴を語って、ひきこもり当事者としての経験や思いを運営に生かしているそうです。

とかく日時を指定しての交流会が多い中、常時来たい時利用できる風通しの良さは、利用者には好評でしょうし、行き場に苦しむ方には得難いスペースでしょう。ひきこもりに限らず「当事者主義」と云う言葉や考え方も一般的になりつつありますが、永島氏のように具体的な実践活動に取り組む方は未だ少ないのが実態です。

 

 「当事者主義」では、例えば、高齢者やしょう害者のケースでもケアが中心になり、必ず「する人」と「される人」と云う相互関係が生じます。当然、「ハッピーな介護者でなければハッピーな介護はできない」と云う課題も生じ、より良いケアには、相互に高い意識と覚悟が求められたからこそ永島氏のように困難に直面する中で試行錯誤を余儀なくされてくるのでしょう。


 一層進むといわれる高齢化社会では、誰もが「ケアを受ける」時が訪れます。ケアするのは妻や夫、嫁など家族が前提だった時代から介護保険制度の導入で社会が看る時代に移行する中で、高齢者でなくてもしょう害者や不登校、ひきこもりなど様々な弱者もケアが必要になります。

 

 永島氏の指摘のように、このケアを「地域や社会も共に担っていく」ことが住みよい地域、町づくりには欠かせなくなっています。

「ピアハウスしょうわ」は、町福祉課と協働してオープンしましたから、昭和町の福祉施策の具体化でもあります。永島氏と利用者の当事者主義を尊重し、運営には口出ししないスタンスが町内外に利用者が広がっているのでしょう。


 当館庭園を「癒しの空間」として利用されている方もいます。当館から徒歩圏内にある「ピアハウスしょうわ」の利用者や永島氏に地域として何が出来るのか共に考えていく必要を示唆した記事でした。