2017年1月12日木曜日

杉浦醫院四方山話―492『元気もありがとう!ふるさと納税』

  納税者が自分の選択した自治体にお金を寄付することで、税負担が軽くなり、その自治体の特産品などが返礼として受けられる「ふるさと納税」が、ブームにもなっています。

 特に都会の納税者の意識を地方に向けることが出来たり、納付先の選択は納税者にあることなど税の意識化に寄与する制度だったことから、利用者も全国に広がったのでしょう。年々寄付金総額が増えると、総務省は上限額を2倍にしたり、確定申告の免除など制度改革を行い、より使い勝手を良くして利用者の増加を図っています。


 「ふるさと納税」のキャッチフレーズは、「ふるさと納税で 日本を元気に!」です。近々では、糸魚川市の大きな火災被害に対し、全国の心ある方々からこの制度を使った支援が寄せられ、復興を目指す糸魚川市民を元気にしていることでしょう。

 

 その半面、「自治体サービスの対価と云う税金本来の位置づけがあいまいになる」とか「返礼品目当てで、利用者の損得に頼る制度は逸脱している」との指摘も広がって、この制度に取り組む自治体の姿勢にも温度差があります。


 昭和町は、ふるさと納税に積極的かと云うと、「広報しょうわ」新年号の町長や議長の年頭所感でも一言も触れていませんから、本町への「ふるさと納税」は、故郷を離れている昭和町出身者が「ふるさとに・・・」と云う自然な寄付が主なのでしょう。

特に豪華で話題性のある返礼品を用意してまで「ふるさと納税」額を増やしたいと云う施策も採っていないのは真っ当ですから、それで良いのでしょう。

 

 そんな中で、今回うれしい「ふるさと納税」があったことを総務課からの連絡で知りました。

都内在住の20代女性から「昭和町の文化財保護」に使い道を指定した寄付が寄せられたという知らせです。

 添えられた町に対する「応援メッセージ」は、町民に寄せられた応援でもありますし、端的にして格調高い文章を勝手に要約するのは失礼の極みですから、全文を掲載させていただきます。


「先日、甲府へ旅行をした際に、この地にあった地方病というものを知り、杉浦醫院を訪れました。当時のまま保存されている医院は、100年以上にわたる闘病の歴史の重さを伝える迫力があります。地方病との闘いは、日本の近代化を語るうえで外してはならないものだと感じました。

また、事務局の方にとても丁寧に説明をいただき、地方病への理解を深めることができました。

少しでも地方病に関する文化施設、資料の保存に役立てていただければ幸いです」


 町の郷土資料館が、「ご縁」となり「ふるさと納税」 に繋がったと云う事例も珍しいかと思いますが、「実物」だけが持つ発信力にこだわった杉浦醫院の存在と展示を評価いただいた上で、ともすれば地方病にマイナスイメージを抱く県民も多い中、この闘いの歴史的位置づけにまで言及された応援メッセージは、県立博物館構想委員長だった歴史家・網野善彦氏の視点とも重なるものと拝読いたしました。

 

 東京の方が、山梨の小さな町に「ふるさと納税」いただいた今回のケースは、巷で話題の「返礼品」とか「ポイント」付加などと云った次元と一線を画した、本来の趣旨にのっとった本当の意味の「ふるさと納税」と言えるのではないでしょうか。


 お寄せいただいたご声援をご期待と受け止め、一層励んでいこうと「杉浦醫院は元気をいただきました!」と御礼申し上げます。

合わせて、応援メッセージを全文掲載させていただきました事にご理解を賜りますようお願い申し上げます。

PS:当ブログ公開後、総務課から「応援メッセージを精査したら、もう一件杉浦醫院を見学した東京都の男性から地方病関連に役立てて欲しいと、ふるさと納税がありました」と追加連絡が入りました。重ね重ね、誠にありがとうございました。