2011年11月25日金曜日

杉浦醫院四方山話―95 『プレ・オープン1周年-4』

 昨春まで「森の病院」と云われた杉浦医院の名残は、敷地内の至る所にあった「切り株」が留めていましたが、上下水道の配管や造園の必要から全て抜根しました。「大好きだった欅の木を切るのは本当に切なく、つらい思いをしました」と純子さんが哀しそうに述懐するのを何度か聞きましたが、半端ではない大きさの切り株に欅の大きさが偲ばれました。建物を囲むように残っていた株は、防風や暑さ避けとして家屋を守ると同時に春の芽吹きや冬空に凛と伸びた裸木など四季折々の表情で杉浦家代々の家族を見守ってきたことでしょう。
 


 内海隆一郎原作・谷口ジロー画 のコミック「欅の木」は、杉浦家や新田地区の人々と杉浦医院の欅の木を描いたかのような上質なコミックですが、東京競馬場の第3コーナー内側にも大きな欅があり、「欅ステークス」という特別競走まで開催されています。昔から日本の風土に合い、日本人の気質にも合う樹木の代表が欅であったことは、国の天然記念物に何十本と指定されている樹齢1000年クラスの欅が物語っています。