2011年5月20日金曜日

杉浦醫院四方山話―46 『映像の蓄積』

 昨年11月に四方山話―9で紹介した『科学映像館』が配信している原発関係の映像3本は、5月に入っても視聴ランキングのトップ3です。この3本の映像は、今回の事故に伴う映像ではなく、「福島の原子力」は第一原子炉の建設記録ですし、「黎明」「原子力発電の夜明け」は、原発の建設過程や運用の実際、原発の大きさや構造などを紹介した原発の内部映像などです。     
 科学映像館久米川理事長のお話では、この原発関係の映像は、昨年末から配信していましたが、3月11日の大震災以降、多くの方からアクセスが続き、特に「福島の原子力」は、飛び抜けた視聴数となっているそうです。5月2日までに「福島の原子力」が72,391回、「黎明」が32,274回、「原子力発電の夜明け」が10,124回再生されていますから、今回の事故を契機に「原発」についての正確な知識や情報が必要なことから、誰でもいつでも無料で見られる「科学映像館」の存在と配信映像がクローズアップされ、国会図書館も映像資料の保存に向け、久米川氏と協議を始めるそうです。
 「福島の原子力」は、制作が東京電力ですから「原発推進のPR映像」でもありますが、内部映像などは、今後の事故処理にも貴重な資料となることなど映像の持つ「客観性」と「記録性」も含め、映像を蓄積しておくことの重要性を示唆しています。
「原子力発電の夜明け」http://www.kagakueizo.org/2009/03/post-76.html

 久米川理事長との交信の中から、当館制作の杉浦醫院紹介DVDも「医学・医療」カテゴリーから配信され、更に来週からは、都留市の浄土宗「清涼寺」境内にある「儀秀講」社の再建を由来から追ったドキュメンタリー映像が配信されます。谷村町の電気屋さん「オーディオ&ビデオ・ネズデンキ」の根津智一氏が一人で製作した映像で、地域のお稲荷さん「儀秀稲荷社」の建て替えを記録した約30年前の映像です。映像には、テーマであるお稲荷さんの由来や地域とのかかわり、建て替えへの過程や方法と共に当時の町の様子や人々の生活も残り、地域にとっても貴重な歴史民俗資料であることに気付きます。

 杉浦醫院参観者から「押原小学校の5号館も残せば良かったのに」と云う感想を聞くたびに「せめて映像で残っていたら違うだろうな」と思っていましたので、のどかな田園風景が一変したイオンモール甲府昭和店界隈の記録映像は撮ってあるのだろうか?と急に心配になりました。
昭和町は、今年町制施行40周年を迎えます。「10年一昔」は、昔のことの感が強い昨今ですが、せめて、10年に一度は、町内の映像を撮っておく必要性を痛感します。また、「昔は結婚式も家でやったもんだ」と同様に、この10年で、家での葬儀もすっかり無くなりましたから、現在普通に行われている祭事や行事を個人も含め地区と役場で分担するなどして映像に残し、昭和町の歴史や民俗を語り継ぐ資料として蓄積していくことの意義を故根津智一氏の映像が静かに教えてくれました。