2011年5月16日月曜日

杉浦醫院四方山話―45 『CO2悪者説再考』

 杉浦醫院の公用車に役場総務課では「プリウス」を配車してくれました。これは、地球温暖化が世界的課題だと京都議定書が採択され、日本では「エコ」が全ての基本になり、行政はその先頭になって、CO2に代表される温室効果ガス削減に取り組む中で、ハイブリット車の採用が全国の役場で進められた結果です。杉浦醫院に配車されたプリウスにも「みんなで止めよう 地球温暖化 昭和町」と両サイドに大きく記されていますから、上記の購入目的は明確です。数年前、この車が納車された時、私は親しい同僚に「恥ずかしい車で、俺にはとても乗れないねぇ」と率直な感想を漏らしました。「燃費がいいからガソリンの消費が減って、ストップ温暖化に貢献する。こんなマヤカシは無いよ。あの大きなバッテリーは数年で取り換えが必要だから、大バッテリーの処分や生産に化石燃料は欠かせず、レアメタルの電動モーターや複雑かつ高品質の制御装置など古い車に乗れるだけ乗る方がよっぽどエコだ。だいたい、地球が温暖化しているというのも本当かどうか、むしろ寒冷化しているという学者もいる。更にCO2が地球温暖化の原因だなんてとても言いきれない。太陽の黒点増減説の方がまだ検討に値する」等々の講釈も垂れた記憶があります。それを知っていたのか、因果応報か、その車が配車されてきました。「主な用途は、ゴミ出しや雑草の運搬なので、弁当箱と云われる軽のワンボックス車で、力を引き出せるマニュアル車を」と希望していましたので、破格の車の配車に感謝と共になぜ?と驚きました。しかし、荷物の積めないプリウスは、その都度、教育委員会の軽トラや弁当箱と交換しに行って・・・という状態では、プリウスの購入目的にも添いませんので、車の交換をお願いしてきましたところ、5月から総務課の軽乗用車と交換されました。
 福島での原発事故を経て、池田清彦氏の新刊「激変する核エネルギー環境」(ベスト新書)が早くも増刷されました。池田氏は、山梨大学教授時代から歯に衣せぬ「正論」が気持よく、著書を愛読し、文化講演会講師にも招聘してきました。今回も「何度も言うようにCO2を悪者に仕立てて、原発を推進してきた原子力利権集団の罪は重いと思います」と明解です。「原発推進」の為には「地球にやさしい原子力発電」の宣伝が一番だと「地球温暖化の元凶は、火力発電所のCO2説が急に出てきた」と数十年前から唱えてきた池田氏は「京都議定書順守は、ドブに血税を捨てる愚策。その金で新エネルギー開発を」とテーマも絞り、地熱やバイオマス(藻類)と共にメタンハイドレートなど代替エネルギーの可能性について生物学者としての見解も具体的です。「原発の安全神話」崩壊が白日の下に晒された現在、「CO2は生態系にはほとんど何の影響もないし、CO2や地球温暖化で死者は出ませんから、CO2削減という日本中をマインドコントロールしている呪縛から抜け出すことこそ日本の進路だ」と説く国士・池田氏の「激変する核エネルギー環境」。一読に値します。