2011年4月22日金曜日

杉浦醫院四方山話―41 『玉井袈裟男氏の人生論』

 国語辞典の最後の言葉は、「ん・と・す=しようとする」です。日本語の面白いところでも難しいところでもありますが「〇〇しようとする→〇〇せんとす→〇〇せむとす」と活用しますが、最終『むとす』で『〇〇しようとする意志を表す言葉』です。この「むとす」が、玉井袈裟男先生のキーワードであり、人生論の象徴です。
壇上からの講義より、学習は同じ目線で・・の玉井先生
 「青空と緑の町」「小さくても豊かな町」が、昭和町のキャッチフレーズで、スローガンですが、玉井先生のフランチャイズ長野県飯田市のフレーズは、「ムトス・飯田」です。「やろうとする飯田」「やる気の飯田」と云ったところでしょうか。飯田市の公民館活動は、全国的に有名ですが、それぞれの地区公民館が、競って「むとす活動」をしていることから、市全体のキャッチフレーズも「ムトス飯田」となったそうです。この公民館活動の生みの親が玉井先生で、先生の生き方=人生論が、そのまま反映され共感を得て広がっています。永遠の真理でもあるゲーテ名言「人間は、生きている以上、活き活き生きよ」を実行するには、活き活き出来ない=障害をなくすことが必要になります。その障害を先生は、「暗い感情」と表現し、暗い感情を明るい感情に変えることが、「人生の課題」であり「生涯学習のテーマ」であると説き、その為の具体的な手立て、方法をみんなで学び考える学習活動を立ち挙げました。例えば、結婚できない農家の長男の暗い感情は「嫁が来ない現実」にあります。これを社会問題、農業問題としていくら議論しても「嫁の来ない現実」は変わらない。どうしたら彼に嫁が来るか?その為に本人は何をなすべきか?仲間はどうしたらいいのか?家族は?地域は?・・と具体的に考え合い「嫁が来た」までやるのが学習だというのです。「売れない柿が暗い感情だ」という地域には「柿酢」の開発から販売ルートまでを共に作り上げるなど、徹底した「問題解決学習」であり、「現代的課題学習」でした。玉井先生は、「大学で、単位の為の講義(教育)より、暗い感情を何とかしたいと参加する公民館での講義(学習)の方が、自分を活性化でき、活き活き出来るから・・」と淡々としていました。
 地域交流や休憩施設にと改修工事が終わった旧温室建物の「もみじ館」に「活き活き生きるために何をやるか、やるのは自分」という人生哲学を率先垂範した玉井袈裟男先生の著書や資料をご自由にご覧いただけるよう置きますので、「暗い感情」の有無にかかわらず、新緑の庭園散策を兼ねて、杉浦醫院にお越し下さい。