2014年3月15日土曜日

杉浦醫院四方山話―321『民具-4 もじり・もんどり』

 団塊の世代である私の時代には、「ビンぶせ」と呼ばれたガラス製の川魚を獲る道具があり、仕掛けに行った川で、石や岩にあたると簡単に割れてしまう安ガラスで、何度か悔しい思いをしたことも思い出します。

そのビンぶせと構造や原理は全く同じですが、町民の方が寄贈してくれた竹で編んだ漁具があります。「ビンぶせ」を持って川に行くと、あの時代はいい大人もこの竹で編んだ割れない仕掛けを持って来ていましたから、見たことがあるのに名前が思い出せません。瓶で出来ていたから「ビンぶせ」で、これは竹だから「竹ぶせ?違うなぁ~」で、調べてみました。

 コトバンク - Kotobankなどには、≪ 「もんどり」、「筌(うけ)」、「どう」などは、おもに河川、湖沼で用いられ、水底において魚道に敷設し、魚類の性質を利用してその中に引き入れ捕獲する漁具である。捕獲対象の魚種によって大きさや形は多様であり、名称も地域によって違っていた。もっとも普遍的であった「横筌(よこうけ)」の構造は、竹や樹枝などの細棒を縄などで編んで筒状にし、その一方を縛って塞ぎ、他の一方に口を開け、そこに脱出できないよう「かえし」を付けて、入った魚が出られないようになっている。≫とありました。

  この「解説」は、当館に展示予定の 2枚の写真のモノと符合していますので 、地域によって呼び方は違っていたようですが、「もんどり」、「筌(うけ)」、「どう」が一般的な名称のようです。

「うーん、もんどりもうけも聞いた記憶が無いなー、どうもどうもなぁ~」と、しっくりきません。

 

 そこに運よく、旧田富町東花輪在住の橋戸工務所元棟梁夫妻が、純子さんのサポートにみえましたから、物知りの伯夫棟梁に現物持参で聞いてみました。先ず奥さんが「昔のビンぶせね」と、「そうか、昔のビンぶせは分かりやすい」と感心しましたが、棟梁はすぐ「俺たちは、もじりって呼んでたよ」で、「あっ、もじり。聞いたことがある」と納得出来ました。

甲府盆地一帯では、「もじり」で通っていた昔のビンぶせですが、異論や別の名称をご存知の方は、ご教示ください。

 

 この「もじり」も現代では、ペットボトルを切って、フタの部分を開いて逆さに入れ、ホッチキスなどで留めて、「かえし」にし、後は、ぷつぷつ穴をあけて水が溜まらないようにすれば出来上がりの「簡単科学工作」の定番の一つになっています。

 しかし、これを許可なく勝手に仕掛けると「おとがめ」を受ける河川もありますから、作っても自由に使えない利権管理社会になっているようで、ジジイの証明「昔はよかった」デス。