2013年6月10日月曜日

 杉浦醫院四方山話―244 『アイスキャンディー』

 杉浦醫院のある西条新田地区は、西条地区のような商業施設は少なく宅地化が進み急激に人口が増えた地区でもあります。若い世代にも人気の昭和町ですから子供も多く、放課後、杉浦醫院庭園の池や駐車場を遊び場に子供がよく集まります。
 純子さんは大学を卒業後山梨に戻り、甲府にあった英和幼稚園に勤めていたそうで「子供の声や足音は本当にいいですね」と子供が集まることを厭わず歓迎しますから子供もその辺を敏感に察し、気兼ねなく集まりやすいのでしょう。
 

 今時珍しい子供らしい子供の2年生春樹君は、元気に「こんにちはー」と毎日のように事務所に声をかける少年です。先月、西条小学校の2年生が「地域探検」で来ましたが、前日に「春樹君は杉浦醫院が遊び場で、もういろいろ探検しているから、明日は探検隊長だな」と話すと「うんいいよ」と言っていましたが、当日集団の中の春樹君を見ると放課後の元気な春樹君とちょっと違う神妙な顔つきです。「うーん子供もつらいなー」と隊長を命じられなくなってしまいました。

 昨日は、仲良しの真知子さん(仮名)と「こんにちはー」と呼ぶので出てみると二人でチューブ入りのアイスを食べながらご機嫌です。「おっ、アイスキャンディーか」と聞くと「違うよ。〇〇だよ」「中身はアイスキャンディーだろ」「違うもんねえー」と二人は顔を見合わせて笑っています。「はて?もはやアイスキャンディーは死語なのか」と不安になりましたが、「そうだ、いいものを見せてやろう」と読みかけの本、矢野誠一著「昭和食道楽」を思い出しました。

  歳のせいでしょうか、最近は食べ歩くより食べ物本を読みながら飲む方がおいしくて、この手の本が必需品ですが、作家のエッセーも含めて、食べ物本は次々出ていますから、私と同じような人間が結構多いのかもしれません。

 矢野氏の文章に合わせた挿絵は、唐仁原教久氏の手によりますが、雰囲気がほのぼの伝わり、挿絵画家の面目躍如です。特に「アイスキャンディー」の項のこの一葉は、何度見ても飽きません。
 
  男の子の遊びといえば野球で、空き地や田圃で、そろった人数で3角ベースもやりました。野球帽をかぶって、夏は水分補給にとお小遣いをくれましたからアイスキャンディーのおじさんがまっわて来るのが楽しみでした。ミルクとアズキは高かったので、5円のイチゴかメロンで悩みましたが、今思えば色は確かに赤と青で違っていましたが、味は同じようなものでした。

 二人にこの挿絵を見せると「でっかいアイスだ」と的を得た感想にびっくりしましたが、女の子の頭と同じほどのアイスキャンディーですが、色つき氷で味はうすかった分「でっかく」て、水分補給にはなりました。

 紙芝居やアイスキャンディー、金魚売り、ポン菓子などあの時代は、おじさんの仕事が子どもの楽しみと結びついていましたし、自転車やリヤカーで子どもが遊んでいる場所を巡ることで生活も出来ていたのでしょうから、本当に時代は進歩したのか?春樹君も50年早かったほうが・・・・と、思案橋ブルース(化石か?)してしまいました。