2017年9月14日木曜日

杉浦醫院四方山話―519『ふるさと山梨・郷土学習コンクール』

 夏休みも終わり、学校生活に戻った子ども達には、二学期のメイン行事「運動会」の練習なども始まっているのでしょう。

 夏休みとは云え、子ども達には様々な宿題が課せられているのも山梨の学校の特徴でしょう。以前にも「夏休みの友」について触れましたが、各種団体からも学校を通して児童・生徒の作文や習字、絵画等々の募集や自由研究などその多くが宿題として課されているのが実態かと思います。


 その中の一つに山梨県教育委員会が募集する「ふるさと山梨・郷土学習コンクール」があります。今年で10回目の区切りの募集が9月上旬に締め切られたようです。


 県教委は、「ふるさと山梨」郷土学習 とは?で、≪山梨県のすべての児童生徒が、郷土への関心を深め、郷土を愛し、郷土に誇りをもてるような心情を豊かに育むための郷土学習を推進する取り組みです。≫と、その目的を公にしています。コンクールですから、毎年それぞれの部門での表彰もあり、選ばれた作品は、県立博物館で展示発表もされているようです。


  また≪多くの小・中学生が,夏休みを利用して,県内の博物館や郷土資料館等を積極的に利用して研究・調査・体験活動を行うことを奨励する。≫と云う一文もありますから、当館にも何人かの小中学生が見学に来て、鋭い質問から「コンクールに応募するので名前を教えてください」まで、応募しようという来館者は意欲的で、こういう機会のあることの必要性も感じました。


  

 「ふるさと山梨・郷土学習コンクール」は、「郷土を愛し、郷土に誇りをもてるような心情を豊かに育むための郷土学習を推進する」と云う目的をコンクール形式にすることで、研究意欲や応募意欲を喚起しようという県教委のねらいは分かります。その為には、取り上げた課題の研究や調査に県立博物館はじめ関係する資料館に出向き、対応した職員の氏名まで記すよう募集要項で指導しているのでしょう。

 これは、自由研究と云う研究行為に「郷土を愛す」と云う道徳的な精神論とコンクールと云う競争原理を持ち込むことで存在感と達成感を得ようと云う意図も見て取れ、気がかりです。


 それは、加熱する合唱コンクールをテレビ中継で見ると、普段から「腹筋力」だの「腹式呼吸」だのと云った体力トレーニングを「独自指導として」どこでもやっているようですし、「合唱はチームワークだ」と精神論を説いてコンクールの上位入賞を横並びで目標にしているのが分かります。

それは、結果発表前後に大写しになる各校の「お祈りポーズ」や「喜びスタイル」まで横並びで、音楽の一分野である合唱だけを全国で予選会までして大々的に行う裏には、高校野球同様、競争原理と精神論で「さわやか」とか「涙」とか「感動」を演出しやすくしているのでしょう。いわゆる一般の児童・生徒とは無縁な特殊集団での盛り上がりには、違和感を禁じえません。

 

 まあ、「ふるさと山梨・郷土学習コンクール」には、合唱コンクールのようなスポンサーもありませんから、カラ騒ぎの授賞式とは無縁でしょう。10月31日(火)に御坂の教育センターで、記念すべき10回目の表彰式があります。外野から上記のような戯言を発した以上、表彰式でこのコンクールの実態をしかと見届け、続けて感想等紹介したいと思います。