2015年12月24日木曜日

杉浦醫院四方山話―461 『アジアの獣医学生』

 麻布獣医大学と科学技術振興機構が毎年行っている研究交流事業「さくらサイエンスプラン」は、アジア各国の獣医師と獣医学生が、麻布大学を拠点に研修を積む事業ですが、見学研修会も組み込まれていて、昨年に続き今年も杉浦醫院が見学場所に選定されました。

 日本では終息した日本住血吸虫症ですが、中国からフィリッピンまでアジア各国では、未だ蔓延していて、人間から哺乳動物まで罹患していますから、日本住血吸虫症を克服した日本の取り組みについての研修は、参加者には大きな興味とテーマだと教授から説明がありました。



 そうは云っても、大学でみっちり講義を受けての見学会ですから、この機会に日本の家屋や民具・農具を観ていただくのも意味あるように思い、提案しましたら「いいですね。日本文化と日本住血吸虫症の二つで」と教授は予定時間も気にせず「両方お願いします」となり、先ずは母屋、納屋、土蔵等の「日本文化」の案内からスタートしました。

 

矢張り、明治25年建築の母屋は見応えがあるようでした。

 

専門が獣医ですから、マルヤマ器械店から寄贈された一昔前の日本の医療器具は、母国ではまだ使われているそうです。マルヤマ器械店が閉店する際、「ベトナムの国立病院に一括して寄贈した」と話してくれた丸山太一氏を思い出しました。

2階座学スペースに移ってからは、「日本住血吸虫」終息と動物の係りについて、「罹患した動物はどうなったのか?」「人間と同じスチブナールを投与して治療した」「治らなかった動物は?」「残念ですが処分されたようです」と云った具合に質疑応答による研修会をしました。

予定時間をはるかに超えても質問が次々で、真剣に学ぶ意欲が熱になり寒さも吹き飛びました。

 

 今回の見学会で、 一番予想外だったのは、井戸端の柿の木に多くの留学生が興味深々で、写真を撮りに集まったことでした。中国以外の南アジアの方々でしたが、カキがいい色に実っていたタイミングも良かったのでしょう。

 

 中国か日本が原産と言われている柿は、二日酔いにも効くと云うので好物ですが、日本で多くの品種が生まれ、ヨーロッパやアメリカには日本から伝わり、学名も「Diospyros kaki(ディオスピーロス カキ)」と、「Kaki」がそのまま使われていますから日本を代表する果物であることは確かですが、初めて柿を見た留学生には思いがけない収穫だったのでしょう。

 
 

 「どんな味なのか?」食べてみたくなるのは万国共通でしょう、皮をむいて切ってあげるとうれしそうに食べながら感想を言い合っていましたから、今日の見学会の一番の思い出であり成果は初体験の「柿」だったかもしれません。