2014年5月22日木曜日

杉浦醫院四方山話―336 『グルダのベートーベン全集』

 杉浦純子さんが生活する母屋には、純子フリークとでも形容すべき友人・知人が、新旧を問わず訪れ、純子さんとの楽しい会話を楽しんでいます。

 

 お隣の正覚寺ご住職には、お二人のお姉さんがいて、現在はそれぞれ千葉県とウイーンにお住まいです。ウイーン在住のA子さんは、帰国した折には、いつも純子さんを訪ねては旧交を温めてきましたが、今回は、千葉県在住のU子さんとお揃いで当館を見学後、20世紀を代表する名盤・フリードリッヒ・グルダのベートーベンCD全集を純子さんにお土産に持参しての訪問でした。

 A子さん姉妹は、純子さん姉妹や純子さんの姪御さん達が弾く応接室からのピアノ演奏を聴いて育ったことから、音楽に憧れと興味を抱いたそうです。それも格調高いベートーベンやモーツアルトなどクラシックが聴こえてきたので、「私もいつの間にかクラシックファンになって、ウイーンに憧れるようになりました」とA子さん。「純子さんの姪御さんは、特にお上手でしたね」とU子さんの記憶は、弾き手を識別出来るほどですから静聴されたのでしょう。


 そう云えば、毎夕5時になるとお隣からご住職のお勤めが始まり、読経と木魚で「おっ5時か」と時報代りになっていますが、読経の声はかすかですが、木魚の音は締め切った真冬でもしっかり響いてきます。楽器が持つ音量に対抗するには人間の声量は数を頼むしかないのでしょうか、「声明(しょうみょう)」と云う僧侶の大集団が仏典に節をつけて歌う?仏教音楽が人気ですが、5,6人では、大きな葬儀の延長のようで、あの迫力と魅力は出せないように思います。


ピアノ協奏曲全集、ピアノ・ソナタ全集 グルダ、シュタイン&VPO(12CD) 

 A子さんのこのCD12枚のお土産は、グルダが30代の時に集中して一カ月で録音したと云うだけあって、表現の一貫性が高く評価されている名盤ですから、純子さんも「眼は衰えたけど耳はまだ聞こえますから本当にいいものをありがとう」と大喜びで、さっそくテーブル上のCDラジカセにセットしました。

 木魚のリズムも「帰れ、帰れ」と聴こえてくるような無粋な私でも、グルダのベートーベンは、学校で聴かされたベートーヴェンは何だったのかと思うしなやかさで、クラシックをジャズアレンジしたジャック・ルーシュのプレイバッハ同様、何回聴いても新鮮ですからクラッシックの新たなファン獲得に多大な貢献をしたことは間違いないでしょう。