2014年4月23日水曜日

杉浦醫院四方山話―330 『川蜷(カワニナ)』

 

 ホタルの幼虫飼育に欠かせないカワニナは、ゲンジホタルやヘイケホタルなど水生ホタルのエサとして一般的ですが、肉を食用としている地域もあるそうです。

写真でもお分かりのように昭和町の水路などで見かけるカワニナの殻は黒褐色ですが、これは鉄分の付着によって黒っぽくなるためで、本来の殻は白いそうです。


 昭和町源氏ホタル愛護会では、ゲンジホタルの幼虫を飼育して、3月には、町内の河川などに放流してきましたが、放流先の河川や池にこのカワニナが生息していないとホタルが自生することはできません。例えば、10年近くメイン放流先にしてきた、押原小学校に隣接する押原の杜内のホタル池、ホタル水路では、愛護会員が、カワニナを放流したり、カワニナにエサを与えたりしてきましたが、井戸水が冷たく、水路が短いことから、水温が低くてカワニナは定着できませんでした。

 上の写真は、杉浦醫院庭園の池のカワニナとカワニナが徘徊した軌跡です。カワニナは冬になると水中の土の中にもぐり越冬し、水ぬるむ4月、5月になると土から出て、活発に動き出します。

4年前からこの池にカワニナを放流して、カワニナの生息をうながしてきましたが、今年はご覧のように越冬したカワニナが池の至る所で動き回り、水底の泥をキャンバスに現代美術風の文様を描いています。

一枚目の縦長の写真でもよく観ると泥に残る文様が確認できると思います。

 

 このようにカワニナは、ただ水が清いだけでは生息できず、水温も低すぎず、水底には泥が堆積していたり、エサになる落ち葉も豊富に必要ですから、杉浦醫院の池は、井戸水が適度に浸透して循環していることで水も適温に保たれ、池を囲む木々や水際に育つ多種多様な植物の落ち葉と石のコケや水中の藻などが、カワニナの生息条件を満たしているのでしょう。

カワニナが生息する場所には、ホタルも生息してきましたから、この池はホタルが自生できる条件が整っていることになる・・・・と、人間は勝手に「アーすればコーなる」と思い描くのですが、果たして結果は?・・・・

 

今年度から町内全小学校でも幼虫飼育を始めるそうですから、今夏、杉浦醫院で乱舞する成虫を目の当たりにして、昭和町の象徴・ゲンジホタルが子どもたちにも一層身近な昆虫となってほしいものです。カワニナ自生を頼りにホタル自生に向けての取り組みも試行していきたいと思います。