2013年12月21日土曜日

杉浦醫院四方山話―300 『ブログ300話の雑感総括』

 当館のプレ・オープンと並行して、ホームページも開設されましたが、「ホームページの命は更新だよ」とA氏から指摘され、改修工事も数年続く状況での「更新」について、無い知恵を絞ってみました。

 母屋には、三郎先生の長女・純子さんが継続して生活していましたから、分からないことや知りたいことを尋ねにいく中で、純子さんは「面白い話の宝庫」であることや杉浦家には代々引き継がれてきた「お宝」が屋敷蔵に保管されていて、純子さんご姉妹から町に寄贈していただける意向であることなどを伺い、それらの紹介や純子さんのお話をメインにブログという形で紹介していくことで、H・Pの更新も図っていこうと始めたのが「杉浦醫院四方山話」です。

 前後して、20年来読んだ本などの情報交換を楽しんできたY氏が、「今は、チキリンさんが面白いよ」とネット上のChikirinの日記」と云うブログを教えてくれました。当時(約4年前)は、女性覆面ブロガー・チキリンも現在ほど売れっ子ではありませんでしたが、「おちゃらけ社会派」を自認して発する内容と「そんじゃーね!」で終わる文体は、それなりに楽しめました。その中に「ブログは蓄積がすべて」と云う話があり、「3年後も読まれているか」「読手を想定して書いているか」と云ったチキリンのブログテクニックが開陳されていました。単純な私は、「そうか、一定数を継続して書いていくことだな」と理解した結果が、300話になりました。そういう面では、チキリンさんは師でもありますが、現在のチキリン日記は、云わんとすることが分かってしまうことも多く、あまり読みませんから、ブログの読者なんて身勝手な者だと自分自身で実感できますし、個人が日々発信していく内容的限界やマンネリ化は避けられないことも必然のように思いました。

 そういう意味では、町内外の方々から顔を合わせるたびに「ブログ読んでるよ」「サボっちゃダメだよ」と声をかけられたり、県外からの来館者が「ブログを読んで来ました」とか「あのブログを書いてる方ですか」と言われ、案内がスムーズになったり、何より純子さんから「私やここの事を東京の親戚が全部知っているんです。姪からからも安心だって電話がありました。凄い時代なんですね」と喜んでもらったりが書いていく励みにもなりました。

 
 「個人的にはホームページもいらない」と思っていた全くのアナクロ人間が、まさかブログなどというモノに係るとは思ってもいませんでしたが、必要に迫られ写真の採り込みなども覚えましたから、「労働が人間を作る」のマルクスは、矢張り正しいのでしょう。        賢明な方なら書く前に考えておのが当然なのでしょうが、愚鈍な私は、書いていく中で「書いて開示していくことの意味」についても考えざるをえなくなりました。
 杉浦醫院を町が購入する意味は、私も担当の端くれでしたから「品格ある町づくりに寄与できる文化施設としての活用」を議会にも説明しましたが、根底には「自分が惚れ込んだ建造物」であったことが大きかったように思います。
「先ず惚れること」を何より優先する脳のクセがあり、「惚れたら口説く」が定石ですから、私の中では定石通りコトを進めたようにも思いますが、「惚れた所で働けるなら益々磨きをかけて」と掃除にも熱が入りますから、「先ず惚れる」は、マルクスは見落としましたが「凡人の価値」のようにも思います。
 
 
 饒舌はさておき、「品格ある町」に欠かせないモノとして、単に建造物としての杉浦醫院だけでなく、町民が共有できる「杉浦醫院物語」と云った「物語の醸成」が必要不可欠だと意識するようになりました。これは、角野町政のテーマである「コンクリートから人へ」と重なる「ソフト」を抜きにした町づくりはもろいと云う歴史的事実でもあります。30話位まで、その辺を薄々感じながら書きましたが、「書いて開示していくことの意味」を遅まきながら考える中で、「杉浦醫院四方山話」で昭和町、中巨摩郡、甲府盆地、甲州の歴史や風土、人々なども視野に、話を重ねていくことも杉浦醫院物語や昭和町物語を醸成していく一つの具体的試行であると考えるようになりました。

 まあ、大風呂敷を広げると収拾が付かなくなりますからこの辺で雑駁な総括としますが、ただ単にブログを書き続ければ、物語が構築されるなどと思っているわけではなく、国の登録有形文化財五件を有する杉浦醫院の建造物を最大限活かしての文化発信と子どもから大人まで来館者が杉浦醫院ファンになっていただく為の仕掛けや試行を重ねていくことが基本です。「杉浦醫院四方山話」もその仕掛けや試行の一つとして、これからも書いて行く所存です。
 本年はキリの良いこの300話で締め、また来春から初心に帰ってお目にかかりたく思います。ご愛読に感謝申し上げ、ちょっと早い気もしますが、皆様よいお年をお迎えください。