2013年8月7日水曜日

 杉浦醫院四方山話―259 『杉浦醫院版・俺は地方病博士だ』

 明治37年に桂田富士郎博士と三神三朗氏が、寄生虫・日本住血吸虫を確認し、大正2年の宮入慶之助博士によるミヤイリガイ発見で、感染経路や中間宿主が解明され、杉浦健造、三郎父子をはじめとする先駆者の研究や治療で、地方病の原因や予防法が明らかになると行政と住民が一体になって、地方病に罹らない為の予防普及、啓蒙活動と終息に向けての多角的な施策が実施されました。 
その予防啓蒙活動の象徴的な一つが、山梨県医師会付属・山梨地方病研究部が大正6年5月に発行した「俺は地方病博士だ」です。
 
 
子どもを対象に作られた啓蒙冊子なので、興味をひくよう絵本にするなど、随所に工夫が見られます。
富国強兵の時代を反映して、博士は、「地方病が広がると、国が貧乏になって弱くなり、ドイツどころか支那と戦争も出来ない様になる。地方病は貧国弱兵病だ」と少年に説くなど、説教内容にも歴史性が漂い面白く読めます。

何より、むき出しの上から目線で「俺(わし)は地方病博士だ」というタイトルも「末は博士か大臣か」の「身を立て、名を上げ」が共通価値観だったこの時代を象徴しています。
 
既に著作権も消滅していることから、国民文化祭・昭和町事業「子ども太鼓フェスティバル」に参加された皆さんへの見学資料として、挿絵と内容は忠実に再録しつつ、文章を現代表記に書き換え、必要なルビも付け、現在の小学生にも読みやすくしたのが、この昭和町風土伝承館杉浦醫院版の「俺は地方病博士だ」です。

この冊子で、地方病と日本の歴史を合わせて学ぶことに役立てほしいものと作成しましたが、三神三朗氏のスチブナール研究、普及姿勢に学び、広く開示して、当館まで来れない方々にも一読願えたらと、当ブログ様式に合わせての公開を試みたのですが、私のPCスキルでは、無理でした。
読みたい方や授業等の資料として必要な方は、当館まで申し出ください。データーを添付ファイルにて送付いたします。コピーしたり更に読みやすく改訂していただいても一向に構いませんので、ご活用ください。