2012年9月26日水曜日

杉浦醫院四方山話―180 『ウィキペディア ライター』

 元アスキー社長の西和彦氏は「ウィキペディアはネットの肥溜」と酷評していますが、「ウィキペディア」は非営利団体ウィキメディア財団が主催している、利用者が自由に執筆できるインターネットフリー百科事典として定着しています。広告など一切無く、運営に必要な資金は寄付によってまかない、執筆や編集は世界中の無償のボランティアの手によって行われています。ウィキペディアの掲載内容は、オープンで誰でも無償で自由に利用することができます。インターネットの発達と共に著作権問題がクローズアップされ厳しくなる中、ウィキペディア掲載記事は複製や改変だけでなく頒布や販売も自由という、ネット社会にふさわしい風通しの良さです。当然「安かろう悪かろう」とか「タダより高いもの・・・」と云った類の記載もあるでしょうが、これは利用者の学習能力や知力も問われている訳で、何事も「鵜呑み」にすることの危険性は、これまでの「百科辞典」やマスコミ報道も同様でしょう。
 超が付くアナログ人間の私ですからウィキペディアの詳細や全体も見ていませんが、こと「地方病(日本住血吸虫症)」のウィキペディアは、凄い濃さで医学史関係者もしくは寄生虫学者の執筆かと思う性格さと小林照幸著「死の貝」をも凌ぐ見事な構成です。
この記事を書いているOさんは、当館にも何度か足を運んで取材や写真撮影をしてきましたが、今日もカメラ片手に「国の登録有形文化財になったので、写真を撮らせて下さい」と来館されました。撮影後の事務所での話しで「甲府で生まれ育ちましたが、私の世代は地方病については全く知らない世代なのか、何にも知らなかったので、知らないことを調べていくのが面白くって・・」あの記事になったそうです。
「あれだけ正確に全てを網羅したウィキペディアもそんなに無いと思いますし、評価も高いですよ」「そう云っていただけるとうれしいですね」と。「ところで、あれだけの記事を書いても全くのボランティアでしょう。生活の方はどうされているんですか」と立ち入ると「私は、旅行会社をしています」と名刺を頂戴しました。Oさん、小野渉氏は、(有)日観トラベルサービスのイッツモア山梨営業所の所長さんで、普段はカウンターで旅行手続きや相談業務にあたっている事を知りました。「他にも県内のことを調べて書いていますが、自分でも地方病の記事が一番かな・・」と控えめですが、巻末に明示してある引用した注釈と出典が、小野氏の地方病についての学習量とウィキペディアに書くことの姿勢を物語っています。