プレ・オープンに合わせて作製した、当館紹介のDVDも好評をいただいていますが、設置した52インチの液晶画面と再生装置を活かすうえでも、地方病関係の映像資料の収集と公開は欠かせません。地方病についての専門アドバイザーをお願いしている梶原徳昭先生から「地方病との闘い」や「人類の名の下に」等の過去の映像フィルムの存在は指摘されていましたが、県立博物館や県立図書館に保存されている16mmフィルムをデジタル化するには、放送局等に委託しなければならず、予算的にも厳しいものがありました。
山日新聞の連載を機に、マスコミの取材が続きましたが、期せずして読売・朝日の両記者から「科学映像館」の話があり、そのサイトで貴重な科学映像が無料配信されていることを知りました「地方病との闘い」や「日本住血吸虫」の2本は、既に配信リストに入っていました。さっそく、科学映像館を運営しているNPO法人に問い合わせると理事長の久米川氏は、唐突な電話での問い合わせにも親切かつ有意義なアドバイスを惜しまず、受話器を通して「人が生きる姿勢と価値」についても学ばせていただきました。
大学教授を退任後、医学関係の貴重なフィルムの消滅を誰かが食い止めなければという思いから、科学フィルムのデジタル化とそれを配信する「科学映像館」の立ち上げに取り組んだそうです。「パソコンも全く出来なかったけどこれを始める必要から68歳から始めたんですよ」「私は、78歳になります。あなたはまだまだこれからです」と若々しい声で的確な内容を無駄なく語れるのも使命を全うすることへの情熱の発露と頭が下がります。
「インターネットの良いところを利用しての映像館です。3年半で、再生された映像は400万回を越えました。配信している映像も405本になりますが、まだまだI波映画はじめ壁があって配信できない映像もたくさんあります」「営利目的のNPOの壁や文化庁の壁も高いです」とご苦労をさりげなく客観的に話せるのも久米川氏の人格が醸しだす品性だろうと我が身を省みました。
志の高い人や組織に出会えるのもインターネットの可能性の一つだと実感しましたが、配信映像も「医学・医療」関係に限らず 、「芸術・祭り・神事」や「自然」「動物」など10以上のカテゴリーを網羅しています。「中国、韓国からのアクセスも非常に多い」という科学映像館。梶原先生も「知らなかった」ということで、四方山話で周知する次第です。
*久米川理事長のブログ
*久米川理事長のご協力で、上記の3種類の映像資料が収蔵出来そうです。