書画の掛け軸は、軸先(一番下の軸棒の両端に取り付ける装飾品)の材質で種類分けされ、「牙軸」の軸先は象牙で最優等品とされているそうです。
杉浦家3月のお軸は、鹿の角を軸先に使っている「春日軸」です。これは春日山の鹿からの命名でしょうか。動物の骨を材料にしたものは「角軸」、銅や真鍮などの金属に模様を付けた軸先は「金軸」、「水晶軸」「竹軸」「桜軸」「紫檀軸」等々、材料がそのまま分かるものなど多種類に及んでいます。
掛け軸は、「本紙」と呼ばれる書画を引き立たせる為に表具として「裂地(きれじ)」と呼ばれる布が重要ですが、裂地 に次いで重きを置かれるのが軸先で、「裂地 」が「着物」であるならば、「軸先」は「履物」にあたると云われています。
杉浦家3月のお軸は、鹿の角を軸先に使っている「春日軸」です。これは春日山の鹿からの命名でしょうか。動物の骨を材料にしたものは「角軸」、銅や真鍮などの金属に模様を付けた軸先は「金軸」、「水晶軸」「竹軸」「桜軸」「紫檀軸」等々、材料がそのまま分かるものなど多種類に及んでいます。
掛け軸は、「本紙」と呼ばれる書画を引き立たせる為に表具として「裂地(きれじ)」と呼ばれる布が重要ですが、裂地 に次いで重きを置かれるのが軸先で、「裂地 」が「着物」であるならば、「軸先」は「履物」にあたると云われています。
さて、3月のお軸の本紙は、古筆家・覚家の書で、古今集の歌3題です。「歌たてまつれとおほせられし時、よみて奉れる」と醍醐天皇の命によって詠んだものと題して、紀貫之が「春日野の 若菜摘むみにや 白妙の 袖ふりはへて 人のゆくらむ」と詠み。
在平行平朝臣は、「春のきる 霞のころも ぬきをうすみ 山風にこそ 乱るべらなし」と、霞の衣は、横糸が弱いので、山風に吹かれて今にも乱れそうだと艶っぽく春の情景を詠んでいます。
源宗干朝臣は、常緑樹の松の緑も決して無表情なものではなく春になるといっそう鮮やかで溌剌としていると、「常磐なる 松の緑も 春来れば いまひとしほの 色まさりけり」と松の緑に春を見つけています。
在平行平朝臣は、「春のきる 霞のころも ぬきをうすみ 山風にこそ 乱るべらなし」と、霞の衣は、横糸が弱いので、山風に吹かれて今にも乱れそうだと艶っぽく春の情景を詠んでいます。
源宗干朝臣は、常緑樹の松の緑も決して無表情なものではなく春になるといっそう鮮やかで溌剌としていると、「常磐なる 松の緑も 春来れば いまひとしほの 色まさりけり」と松の緑に春を見つけています。
純子さんが「3月のお軸は、これですね」と迷うことなく用意された書軸は、敢えて軸先に象牙を使わず、歌に合わせて鹿の角の軸先「春日軸」で表装するというこの世界の奥深さに、ふと「しつらえ」という死語が蘇りました。