2012年3月3日土曜日

杉浦醫院四方山話―123 『杉浦醫院石景-3』

 母家の座敷を囲む苔庭を東側から撮った写真が上で、西北側からが下の写真です。
苔の生育保護の飛び石かと思いますが、飛び石も、茶の湯と共に生まれたようです。京都に茶室をつつむ苔庭が生まれてから、履物の裏がしめるので飛石がよいとされ、苔庭に飛び石が定着したそうで、杉浦家の苔庭に配された飛び石も座敷でのお茶会を想定しての打ち方になっています。  客人は玄関横から飛び石に沿って苔庭に入ると西側から座敷に上がれるよう大きな履脱ぎ石があり、帰りもここから西北側へ飛び石に沿って抜けられるようになっています。
 この苔庭の中にも三角形の頂点に置かれたように三塔の石燈が建ち、大小、高低のみならず山石、川石、海石と様々な種類の庭石が置かれています。日本庭園の特徴は、この石組がもたらす抽象的な表現が、苔や庭木と一体になって文化、宗教、哲学などの思想を背景にした意匠を生み、高度な独自空間を造りだしている所にあります。写真をクリックすると拡大しますので、その辺もじっくりご覧ください。間もなく苔も青々してきますのでご来館しての苔庭もお楽しみください。