杉浦醫院四方山話―455 『菊香る玄関』
11月1日の院内コンサートに向けて前五話で、ボランティアでピアノ再生に取り組んでいただいた富士市の辻村音楽企画店のお二人を紹介させていただきましたが、毎年季節ごと育てた花で玄関を飾っていただいてきた西条一区の堀之内一郎さんが、コンサートの開催に合わせるかのように数日前にご覧の菊を玄関前に設置してくださいました。
これも毎回のことですが、私たちに気付かれないように休館日に置いて行くと云う奥ゆかしさも花を育てる人には自然に備わる美意識なのでしょうか。
つくづく、杉浦醫院は控え目でボランティア精神に富んだ心ある方々に支えられていることを実感し、感謝いたします。
今年の堀之内さんの菊作品をご紹介します。
背も一番高く3つの大輪の花が豪華なこの菊は「黄糸太」です。
これは、芽の先を摘心して、一本の苗から3本の側枝を伸ばし支柱で支え、一枝に一輪花を付けるよう仕立ててあります。
3本の中で一番高い枝が「天」で真ん中後ろに、残り2本が「地」「人」で、背の高さを「天」「地」「人」の順になるよう造られています。これを「三段仕立て盆養」と云うそうです。
この菊名は「うすぼたん」です。
このように花を丸く咲かす造り方を「ダルマづくり」と呼ぶそうです。これも「3本仕立て」で、「天」の高さを65センチ以下に収めるのが条件だそうで、植物の成長を抑制する矮化剤(わいかざい)を使ってこの条件に合うように造るのだそうです。
和菊の代表でもある「元禄丸」です。
上からの撮影で分かりにくいのですが、花は真ん中が高くなるように咲いています。
このように大菊、中菊、小菊を左右に3鉢置くと、この3鉢もそれぞれ「天」「地」「人」の順になっていますから、堀之内さんはそこまで計算して育てて設置してくれていることが分かります。
また、鉢には、それぞれの菊の名前が書かれた小さな名札まで付けてくれますから、何も知らない私でも菊の名前も教えていただき、訳知り顔で紹介することもできました。
更に、左右3鉢の足元があらわにならない様に丸菊をそれぞれ2鉢ずつ配してと、細かなところまで気配りが行き届いていることにあらためて感謝申し上げます。