2015年11月11日水曜日

杉浦醫院四方山話―453 『 ピアノ再生物語4-調律師資格』


 今回、「一日で仕上げます」には、社長の辻村氏と主任技術者の臼間氏の二人での作業が前提だったようで、指示や注意などの言葉は一切なく、息の合った分担作業が続きました。

 例えば鍵盤関係では、1本1本磨いたり、締めたり、削ったりの作業ですから、黒鍵36、白鍵52の合計88鍵の鍵盤を二人で左右から始めることで半分の時間で出来ることが分かりました.仕事の手を休めることなくテレビや新聞の取材の方々に説明したり、質問にも気安く応じていただきました

こう云う貴重なピアノに係れ胸がときめく程やりがいがあります」と若々しくインタビューに答える辻村氏

「調律師になるのには何処で学ぶんですか?」        

「ヤマハやカワイには、調律師養成学校もありますが、国立音大など音大や専門 学校にもあります。静岡には楽器メーカーが多いので調律師も多いんじゃないですか。学校出たから出来ると云うモノじゃないですがね」                

「臼間さんもカワイ出身ですか?」 

「私は彫金をしていたんですが、辻村さんの仕事を観て、彫金と同じような手作業で大きなピアノを蘇らせていくのに感動したんです]

「二人のお嬢さんは、上智と東大ですから頭は良いのは分かっていましたが、兎に角呑み込みが早い。それにやる気があるから、私に就いて修業して今ではウチの柱です」と、臼間氏は辻村氏個人から技術を習得して調律師になったことも知り、二人の「阿吽の呼吸」は、そういう過程で自然に育まれたものでしょう。                                                                              

内外の磨き作業と整調作業が終わったピアノの底板には、埃で見えなかったエンブレムもご覧のように見事に蘇りました。

「現在のヤマハのエンブレムは角ばった模様の中に字体が違うヤマハの文字だから、いやあ~このエンブレムは初めてです。これだけでも貴重ですね」と辻村氏。

臼間氏も写真に収めていましたが、このようにピアノの内部を上から目の当たりに出来たのも外せるものは全て外しての作業だからこそでした。