杉浦醫院四方山話―462 『結び教室』
開館以来、当館を会場に伝統文化について学ぶ教室を順次開催してきましたが、今年最後の教室は、「結び教室」でした。
王朝貴族達の硯箱や鏡などの調度品は、美しい房と花結びで彩られていましたから「結び」は、日本古来の宝飾品として、さまざまな結びを編み出し、所有者の表示や目印として使われてきた伝統文化です。
家族から部族、集落、むら、国等が形成される過程で、長や王が誕生し、その墓である古墳等の埋葬品からは、多くの宝飾品が出土していることは、洋の東西を問いません。これは、宝飾品の起源は人を「守る」という自然との共存生活の中から誕生したことを物語っています。
古くから「聖なるものは美しいものに近づく」とされ、狩猟に赴く男性もお守りとして身に付ける中で、一層強く守る力として宝飾品は美しさを競い、現代では、女性をより美しく輝かせるものとして定着しているのが宝飾品なのでしょう。
また、信長、秀吉に代表される武士の権力者たちは、茶室に招いて政治をしましたから、茶人は、権力者たちの意向に応じて暗殺者にもなり、利休も信長・秀吉 といった武将に取り入り、絶大な権力を保持したことも知られていますが、お茶の道具を入れる袋・「仕服」も毒物の混入を防ぐために生まれました。
これは、自分だけが知る秘密の「封じ結び」を編み出し、「結び」が鍵の役割をして、自分の身を守ったことから発展し、茶道の装飾品としての「仕服」に引き継がれているそうです。
今回は、「結び」で、正月飾りを創りました。「門松」や「しめ縄」から「鏡餅」まで、日本の伝統的な正月飾りは多彩ですが、神を招き入れ良い一年になりますようにと云う願いは共通で、家内安全云う「身を守る」起源ですから、正月飾りも宝飾品に分類されるように思います。
あまりポピュラーではない結びの正月飾りは、逆に神様の好奇心にも触れ、月並みな飾りよりご利益はあるかも知れませんが、参加者はそんな俗な事には無関係に2時間超、好みの二色の「結び」に集中して取り組みました。
詳細は、今週の甲府CATV「街かどトピックス」の中で繰り返し放映されますので、ご覧ください。縁起物でもある「結び飾り教室」についてご紹介し、当ブログも本年の「結び」と致します。