2015年5月7日木曜日

 杉浦醫院四方山話―416『なぜ出せない安全宣言~日本住血吸虫病はいま~』

  前話でご紹介した米山達雄氏の顔写真は、NHK甲府放送局が平成2年に制作したローカル番組『なぜ出せない安全宣言~日本住血吸虫病はいま~』から写したものですが、この映像は411話 『地方病研究者・梶原徳昭氏』 で触れましたが、梶原先生からのお土産のVHSテープをDVDにコピーした映像資料です。

 

 この番組は、国内の有病地の一つ佐賀県が平成2年に「安全宣言」を出したのを受けて、NHKアナウンサー末利光氏が鳥栖市内の筑後大堰などを取材して、山梨県での「安全宣言はどうして出せないのか」を専門家の林正高先生の解説と共に考えていくと云う内容です。

 
 

 山梨県の終息宣言は、平成8年ですからその6年前の番組ですが、佐賀県の安全宣言は、ミヤイリガイが全滅したことを確認したことによることから、当時の山梨県ではミヤイリガイがまだ至る所に生息している現状では「安全宣言はとても出せません」と米山氏も答えています。

 
 

 その後、平成7年に山梨県地方病撲滅対策促進委員会からの「本県における地方病は、現時点 では既に流行は終息しており安全と考えられる」との答申を受け、翌年の「終息宣言」になりましたが、佐賀県の場合は平成2年に「安全宣言」、10年後の平成12年に「終息宣言」が出ていますから、山梨県は終息と安全を一緒に宣言したことになります。同時に最大の有病地帯の山梨の方が佐賀県より「終息宣言」は早かったことも分かりました。

 

 解説の林先生にもこの映像の話をしました所「全く記憶にない」そうで、「NHKなら教育テレビが製作して全国放送した番組は手元にもありますから覚えていますが、末さんと一緒に出演した覚えもありませんけど、25年前の自分が残っているなら出演したのでしょうね」と多忙を極めていた林先生らしい感想でした。

 
 

 約20分の番組ですが、林先生の「この地方病の歴史を伝えていく資料館が県内には必要ですね」と云う閉めの言葉に杉浦醫院に資料提供を惜しまない林先生の現在が重なりました。

当館で、この番組の観賞が出来ますので、来館の折には指定下さい。