2015年4月16日木曜日

杉浦醫院四方山話―411 『地方病研究者・梶原徳昭氏』

 梶原徳昭先生は、杉浦醫院整備保存活用委員会にも地方病専門家として参加いただいてきましたが、県衛生公害研究所の研究員として流行終息宣言の取りまとめや山梨県地方病撲滅協力会の事務局を担当するなどこの道一筋の行政マンでもありました。

 

 先輩でもある薬袋勝氏と共に「山梨県における日本住血吸虫症の流行状況 」を著したり、山梨県国際協力専門技術者派遣事業では中国の実態調査に赴き、「四川省西昌市および蒲江県における日本住血吸虫病の流行状況について」の報告論文も残しています。

 

 

 前話でも触れましたが、「百年戦争」とも言われた山梨県の地方病撲滅事業にも終息の兆しが見え始めると終息宣言後を見据え、「この病気との闘いの歴史を後世にどう伝えていくか?」と云った「終戦処理」も梶原先生が担いました。
 「山梨県の近現代史に地方病は欠かせない」という県立博物館建設構想とも絡み、県博での「地方病コーナー」充実のための文献資料や展示資料の収集活動もその一つでした。

 

下の写真は、2013年5月に国立科学博物館で開催された「日本はこうして日本住血吸虫症を克服した」の企画展に山梨県立博物館が提供した資料です。殺貝活動に使った看板から桶や写真など梶原先生が収集して、県博に収めた一部でしょう。


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この写真は、こだわり百貨店 TSUBURAOKA.COMから転載させていただきました。


  今回ご紹介してきた地方病研究者御三方の来館は、県博に提供した貴重な文献資料や展示資料が、一度も公開されず眠ったままになっている現状を憂い、当館に移管して活用を図ったらどうかと云う、大変ありがたいご提案の為でもありました。

プレオープン時にも同様の申し出が高橋積氏からあり、県博、県学術文化財課と協議した経緯もありますので、後日、県博の担当者学芸員とも協議することとしました。

 

 梶原先生も加茂、林両先生同様、往年のVHSテープ2本の映像資料を「お土産」に持参くださいました。さっそく、二階座学スペースで観賞できるようDVD変換を図っていますので、三先生から提供いただいたお土産の映像・音声資料が揃ったところで、「新資料公開展」を企画しようと思います。