杉浦醫院四方山話―386『アジア各国の獣医師研修会』
アジア各国の獣医師が、科学技術振興機構(JST)の研究交流事業「さくらサイエンスプラン」で現在、麻布大学で研修活動を行っていますが、その一環として昨日35名の皆さんが来館し、日本住血吸虫症について研修をされました。
事前に大学で、この病気について学んでからの現地研修会で皆さん獣医であることから、この病気と動物とのかかわりについての資料を用意して案内しました。
桂田富士郎博士と三神三朗氏が、三神氏の愛猫「ひめ」を解剖して、初めて日本住血吸虫の虫体を発見したことや感染経路を確定する為に馬を甲乙二組に分け、甲の馬には、水を飲めないように口元を袋で覆って経口感染出来ないようにし、乙の馬は皮膚感染しないように四脚に防水装置を付けて、水田に放った百年前の実験から、当時主流だった経口感染説が覆り、寄生虫の皮膚感染が確定したことなどを写真を使って説明しました。
また、健造先生が進めたアヒルやウサギ、ザリガニなど天敵によるミヤイリガイ殺貝活動など地方病終息に至るまでに動物の果たした役割の大きかったことも伝え、現代の機械化された日本農業も五十年前は人と牛や馬など家畜と一体だった映像なども観ていただきました。
現在もこの病の患者や患畜の多いアジア諸国で獣医として働く皆さんですから、寒い部屋も温かくなるほど熱心な研修会となりました。
館内見学後、記念写真を撮りましたが、日本家屋の母家や庭園にも興味が尽きず写真撮影に忙しく、予定時間をだいぶオーバーして、次の研修地である北杜市の県酪農試験場へと向かいました。