

「これは、祖母たかのものだと聞いていますから、100年以上前の硯箱ですが、私も普通に使ってきましたが、手触りが段々良くなってくるのが分かりました」と純子さん。たかさんから娘の綾さんを経て純子さんへと杉浦家の女性が三代に渡って日常品として使いこんできた文具。
ゴミのように溢れかえるボールペン類等々からアット云う間に消え去ったワープロ。パソコンも某社の陰謀だろうと勘繰りたくなる目まぐるしいOSの進化?による交換など現代文具は使い捨てが主流です。地方の街々にあった文房具屋や万年筆専門店も消えて行き、地方の「文具フェチ」は、ネット購入が主流だとか・・・
職人の確かな技で延々と彫り、組み立てられ、塗られた硯箱が代々引き継がれ、多くの墨文書や手紙に愛用され、その使命を全うしている硯箱は、ノスタルジーを超えた古き良き時代の美術工芸品であり文化遺産であることを物語っています。「そうそう、この硯箱とお揃いの小さな箱がありました。少しでも目が見えるうちに探しておきますから」と・・・