2012年4月13日金曜日

杉浦醫院四方山話―133 『ホタルー4』

 昨日、桜吹雪舞う庭園の池に杉浦医院内で飼育していたホタルの幼虫を放流しました。 右の写真のようにしっかり成長した幼虫です。
釣りをする方なら喉から手が出そうな上等な生き餌ですから、池のザリガニには久し振りのご馳走になります。ザリガニがいないだろう滝壷へホタルクイーンの手で放たれました。
幼虫は、今月末の雨降る夜、水中から這い上がり土の中に潜ります。愛護会の若尾会長宅にあるホタルドームでは、例年この上陸を若尾会長が確認しています。幼虫は光を放ちながら上陸しますので、水から陸へと一斉に動いて行く光景は、幻想的で、雨の中で上陸をじっと待つ苦労も忘れさせるそうです。
 同様にホタルの卵も光ります。真っ暗な川で、石苔に産卵した卵が光っているのに出くわすと「ひかりごけ」が連想され恐怖感すら抱きます。
冬の寒さを取り返すかのように温かくなってきましたから、昭和の源氏ホタルも例年並みのサイクルになりそうです。上陸して繭になった幼虫が、成虫として舞い出すのは5月25日前後からでしょう。長くて2週間という成虫としてのホタルの短い命。それは種を残す為にだけ与えられたかのように求愛のシグナルとして明滅を繰り返しては交尾、産卵して消え去ります。このように桜の散り際のよさにも似たホタルは、江戸時代から初夏の風物詩として人気でした。地域の方々にも楽しんでいただけるよう6月初旬に「杉浦医院ホタル観賞会」を開催します。昭和町内各所でホタル発生情報が飛び交うよう地道な活動を続けている愛護会に興味のある方は是非入会し、共にホタルの里復活に汗を流しませんか。ホタルクイーンは、4月から当館職員として勤務している若林ゆさです。どうぞよろしく。