杉浦醫院四方山話―404 『ホタルの幼虫放流に向けて』
今年もNPO「楽空」と協働で育ててきた源氏ホタルの幼虫を放流する季節になりました。
これまでの実績から、幼虫放流数と羽化した成虫数が期待どおりでなかった原因についてあれこれ協議したきましたが、一つには池に棲息しているザリガニが放流したホタルの幼虫を餌食にしているのではないか?と云うことで、普段から子どもたちにも池でのザリガニ釣りを奨励したりしてきました。
その結果、水底を素早く移動するザリガニの数は減りましたが、冬眠あけのこの季節、念には念を入れてとザリガニ捕獲器3個を池に仕掛けました。
ザリガニの名前の由来は諸説あるようですが、私には「いざり蟹」が転じての「ザリガニ」説が、一番しっくりします。「いざる」は「膝や尻を地につけたまま進む」ことですから、19組計38本の足と体全体をしなやかに使って結構なスピードで「いざるようなカニ」と命名した人の観察力には敬服します。
もう一説「しざり蟹」が転じて「ザリガニ」説も的を得ています。「後退り、後退行すること」を「しさる」「しざる」と云うそうですが、私の貧しい語彙の中には「しざる=後退り」はありませんでしたから、「いざり蟹」説に軍配が上がった次第ですが、ザリガニの移動は、エサの捕獲以外は前進ではなく後進であることも大きな特徴です。
3個のザリガニ捕獲器は、愛護会の若尾会長と杉浦精さんから提供されたものですが、中にサキイカや煮干しを入れて仕掛けておくと一日に20匹前後のザリガニが獲れます。 放流したホタルの幼虫が食べられてしまうのを極力減らすには、ザリガニの迷惑は承知で、根こそぎ捕獲したいところですが、それ以上の繁殖力を持つザリガニは、後を絶たないことでしょう。まあ、本来ホタルもザリガニに負けない繁殖力があるからこそ、フナや鯉、ザリガニ等々が生息している自然界でも毎年毎年自然発生しているのでしょうから、根本的には、過保護な養殖ホタルは生命力や繁殖力が弱いということかも知れません。
そうは言っても5月の終わりから6月上旬にかけ杉浦醫院庭園の池で去年以上のホタルが乱舞することを願って、15日(日)に放流しますので、今年のホタルにご期待ください。