2013年12月14日土曜日

杉浦醫院四方山話―298『かおり幼稚園年長組来館-1』

 過日、近くのかおり幼稚園の年長組の園児が見学にみえ、翌日鮎川先生が、園児が描いた絵を持参くださいました。初めての園児の見学会で、どの程度の説明が必要なのかも試行錯誤で、結局約1時間を杉浦醫院探検会として、裏の土蔵まで自由に探検してもらうことにしました。                                     詩人の茨木のり子さんが「大人は子どもの夕暮れではないのか」 と発したエッセイを思い出すほど子どもの眼と好奇心にあらためて脱帽してしまいました。絵の上にある三つの丸は、診察室の照明器具です。当214話「杉浦醫院の照明器具」でも紹介しましたが、アールヌーボー風の照明器具は、古さを感じさせないモダンなものですが、何の説明もしなかったこの照明器具をしっかり眼に焼き付けて帰っていたことに驚かされます。                    2階の階段脇にある自分の背丈より大きな壊れた時計には多くの子どもが喜びましたが、3時で止まったままの針も正確です。2階は和室に座卓が3つ並び、健造先生や三郎先生の新聞記事コピーをおさめたファイル3冊や本などの活字資料を置いていますが、座布団に座ってそれらの資料を開いて見る好奇心があるので、当館のDVD映像も点けてみました。すると食い入るように映像を観る顔・顔・顔です。以前、下見に来て「これは、低学年の子にはちょっと難しいので・・・」と賢明な?判断をされた先生もいましたが、矢張り、子どもに成り代わって、取捨選択をしてしまう気真面目さは、夕暮れ度も進んでしまう職業病かもしれません。
余談はさておき、その座卓での様子も上手に描かれていますが、手前3枚の茶系など色や柄もまちまちの座布団も実際絵のとおりですから、座布団が畳の上にずらっと並んでいる和室もこの子にとっては新鮮な光景だったのでしょう。
  
 かおり幼稚園の絵画指導には定評がありますが、12時までの見学の後、園で昼食を食べ終わった子から、杉浦醫院の見学会で印象に残ったことを好きにお絵描きした作品とのことですが、パターン化された「お礼の手紙」より内容がありずっと面白く、子どもも学年が進むということは、一面夕暮れに向かっていくことなんだなあ~と実感してしまいました。