2015年7月15日水曜日

杉浦醫院四方山話―430『キハダ?』

 11日(土)には、甲斐市清川地域ふれあい館の皆さんが、甲斐市の文化財主事O氏の案内で来館されました。



 見学時間も余裕を持っての計画でしたから、庭園から細かく案内できましたが、団体でお見えの方々の中には、必ず抜きんでた「専門家」が居て、鋭い質問から補足までいただいたりで、和やかな見学会になることが多いのも特徴です。



 今回のメンバーは、それぞれに得意ジャンルがある方々が揃っていましたから、「地方病流行終息の碑」の移設に伴い、母屋の苔庭入り口にあった薬木を鈴木造園の親方が「これは苔庭には向かいないから」と碑の横に移植した木について、こちらから聞いてみました。

「この木は、杉浦醫院が漢方医だった頃、薬木として使っていたそうですが、植木屋さんも名前が分からいと云う木で困っていたんですが、どなたかご存知ありませんか?」と。



 男女各一名の「専門家」が木に近づき、葉を取って臭いを嗅いだり、幹を確かめ、「こりゃ、キハダだね」と裁断してくれました。

「キハダ?薬木ですか?」

「この木の皮を煎じて飲むと肝臓に効くけど、ほれこそ苦くて子どもにゃ飲めんらね」と男性。

「この木の皮は黄色の染料にもなったからキハダって名前がついただよ」と女性。

「肝臓の薬だから地方病にも使ったずら。ほっとくとデカイ木になって困るだよ」と。


 疑う訳ではありませんが、いとも簡単に「キハダ」名と効能や特徴までスラスラ説明されると、「そんなに有名な木なら、なぜ純子さんや植木屋さんが知らなかったのだろう」と、調べたくもなり、困った時の「ウィキペディア」で検索すると、概要が下記のようにあり、キハダの効能は、両専門家のご指摘通りでした。



樹皮の薬用名は黄檗(オウバク)であり、樹皮をコルク質から剥ぎ取り、コルク質・外樹皮を取り除いて乾燥させると生薬の黄柏となる。黄柏にはベルベリンを始めとする薬用成分が含まれ、強い抗菌作用を持つといわれる。チフス、コレラ、赤痢などの病原菌に対して効能がある。主に健胃整腸剤として用いられ、陀羅尼助百草などの薬に配合されている。また強い苦味のため、眠気覚ましとしても用いられたといわれている、また黄連解毒湯加味解毒湯などの漢方方剤に含まれる。日本薬局方においては、本種と同属植物を黄柏の基原植物としている。


 植物図鑑でも確かめてみると、葉が図鑑と実物で違う様にも見え、ウィキペディアにも10~20mの大木とあるのに江戸時代からあった木にしては、低木過ぎるしな・・・・と疑い深いのでしょうか?自信をもって「キハダ」と言いきれません。

 

 清川の植物専門家によって、「キハダ」名を知りましたので、次なる専門家の来館の折には「これは薬木のキハダでしょうか?」と教えを乞い、納得したいと思います。