小笠原流の「香」を通して、小笠原流「躾禮」全般を習得した綾子さんは、純子さんが述懐するように「書」も「裁縫」も「百人一首」も「料理」も・・・と、多岐に渡って長けた方であったと語り継がれています。その背中を見て育った純子さんは有楽流の「茶道」を継続しています。音楽から映画、古典や文学といった芸術全般から社会や生活の知識まで、いくら「いい加減ですから・・」と謙遜しても目を見張る知識教養や決断力、会話力等は隠しきれません。
日本文化に精通し、感性の人として著名な白州正子は、幼少から父愛輔が出会わせた「能」の思考と切っても切り離せないと云われています。「能」を核に四方八方にその感性がリンクして「白州正子は白州正子になった」と評伝されています。現代では、内田樹が合気道など「武道」を核に文学から社会学まで幅広い発信力を備えた学者として活躍していますから、日本古来の「文化」を習得することで、広がる興味や教養は再考に価するように思います。内田が、これからの教育は「からだを賢く、あたまを丈夫にする」ことを目指すべきだと云っていますが、小笠原流を含め日本古来の文化をきちんと習得することが、「丈夫な頭づくり」には欠かせないのかな・・・と。