科学映像館の久米川理事長との電話連絡が続いたせいか、この10月から当館に勤務しているWさんから「科学映像館はどこにあるんですか?」と聞かれました。「埼玉県の川越だよ」と答えると「一度行ってみたくって」と云うので「そうか、映像館と云うから映画館があると思うのが普通だよね。川越にあるのは久米川先生の自宅だから、行っても先生の顔が見られる位かな」と笑いましたが、前93話で、インターネットの普及と可能性の拡大に伴い博物館などの展示施設の必要性の有無についても触れたのは、まさしくこの科学映像館が施設を持たず、貴重な映像をインターネットで配信している見本のような存在だからでもありました。この科学映像館の先駆性や運営を一人で切り盛りする久米川理事長の見識、お人柄については、既に何回か当ブログでも紹介してきましたが、過日、プレオープン1周年記念に合わせたかのようにフルハイビジョン化された「よみがえる金色堂」の限定DVDを当館映像資料に寄贈下さいました。
「地方病」関係の映像資料収集過程で、科学映像館の存在と充実した取り組みを知り、連絡したのをきっかけに久米川氏からその運営の詳細とご苦労、アドバイスまで頂戴してきました。特に、県にも保存されていないという幻の映画「人類の名のもとに」は、久米川氏のご尽力で取引のある制作会社の倉庫の隅で埃を被っていたフィルムを発見、デジタル化することができました。今回、「よみがえる金色堂」のフルハイビジョン化の費用捻出に「山梨県内でご支援いただける企業や個人がいたら・・」との要請に、たった一度ですが、昭和で開催した講演会に参加され、鋭い質問と意見を述べられた県の教育委員でスーパーやまと社長の小林久氏の存在が浮かびました。思い切って手紙を書き、10万円の資金提供をお願いしたところ即応いただいたことから、これを機に科学映像館の取り組みを広く県内にも周知し、支援の輪も広げていこうと「山梨県科学映像館を支える会」を立ち上げ、小林氏に代表をお願いいたしました。「予算がないから出来ないでは情けない」と資金調達も先頭に立って奮闘する久米川氏と「出過ぎた杭は打てないだろう」と笑いながら、県教委改革から甲府銀座の街活性化にまで奮闘する小林氏の「実存」は、気持よく重なります。