2014年8月11日月曜日

杉浦醫院四方山話―358 『花まる先生 若尾久氏-1』

 杉浦醫院のお隣、若尾巌さんのご長男・若尾久氏が8月9日(土)付け朝日新聞全国版に「花まる先生」として紹介されました。毎週土曜日のこの教育欄では、毎回ユニークな教育を実践している全国の教員が紹介されてきましたが、今回は何故か「特別編」と注釈が付きましたから、学校の教員以外では若尾さんが初めてなのでしょう。新聞記事には「山梨県昭和町」云々もありませんから、気付かなかった方も多いか?と、補足も兼ね、新聞記事と若尾さんについてご紹介いたします。

 新聞記事で先ず目に入ったのが、少年たちの目の輝きと好奇心に満ちた表情に呼応する野武士を彷彿させる腹の座った若尾久氏の真剣な眼差しでした。

朝日新聞デジタル版にカラー写真がありましたからご覧いただくと、この一枚の写真に若尾さんの授業に対する思いや姿勢、若尾さんの思想が全て集約されているように思います。

写真・図版

 若尾さんは、2007年から勤務するカシオ計算機の社会貢献活動として、環境問題など持続可能な社会の構築のための活動に取り組んできました。
その中で、日本の年間自殺者は約3万人、そのうちの約600人が20歳未満の子どもたちだという現実を知り、こうした悪循環を断つためにも、子どもの世界へ働きかけることが重要だと考え、「子どもたちに何を伝えたいのか考え抜いた末、たどり着いた答えが『命』でした。やるからには形だけの取り組みにしては絶対にいけない。そのためには、子どもたちに『本気』で向き合わなければならない。」と。

 若尾さんの「本気の授業」は、これまで全国の延べ1万5千人を超える子どもたちに及び、カシオ計算機の社会貢献活動の代名詞にもなって広がり、今回の「花まる先生」にも繋がったわけですが、写真に集約された若尾さんの思いが伝わる言葉に耳を傾けてみましょう。


 当初、学校の先生方からは「子どもには分からないだろうから、そういう話はやめてほしい」と言われることも多かったといいます。
 しかし、若尾さんは『私の授業では命の大切さを伝えるとともに「何のために生きるのか」を伝えています。これは幼稚園で授業をするときも同じです。ある小学校で1年生の児童に授業を行った時のことです。授業が終わるとひとりの男の子が私に「僕は生きる意味が分かった」と言ってくれた。ちゃんと理由も「生きることは本気で生きることだ」と。子どもだから分からないのではなく、子どもだからこそ 分かることがあるのだと思います。大人の勝手な価値観で子どもの可能性を決め付けてしまっているだけで、子どもたちは本気で向き合えば必ず分かってくれる。』


『だからこそ私の授業にはマニュアルはありません。授業では私自身の人間性を伝えるようにしています。授業は毎回異なり、授業をやるごとにさらに変わっていく。子供たちから気づきをもらい、それを次の授業に肉付けしていく。子どもは大人を見て成長します。本気かどうか大人が問われているのです。』

もう一度、上の写真をご覧ください。「本気の大人が子どもを本気にさせる」過不足ない証明写真であること。その本気な大人は、昭和町に生まれ育った昭和町民であること。こんな愉快な写真は、巌さん、酒の肴にも最高ですね。