2018年5月20日日曜日

杉浦醫院四方山話―540『明日・昭和町ホタル夜会』

 5月21日(月)午後7時から、当館庭園で「昭和町ホタル夜会」を開催します。ここ数年、当館での開催が続いていますが、主催は昭和町源氏ホタル愛護会です。私も愛護会の事務局をしていた関係で、ホタルとの縁が切れませんが、地方病終息と共に町のホタルも消滅した経緯や歴史は、当館が伝承していくべき内容ですから当然でしょう。

 
 昭和町の源氏ホタル復活活動は、今年で30年目を迎えますが、この30年で著しい成果があったのかと聞かれるとそれこそ「微妙」としか言えません。
初期の段階で放流を続けた紙漉阿原地区の湧水地域には100匹前後のホタルの乱舞を再現できるようになり、自生の可能性も期待できたことから、ここ20年近く幼虫の放流はストップしてきました。それは、幼虫を放流すると自生したホタルなのか放流したホタルなのかが確認できないからです。今年も14日に現地に行った浅川会長から「3,4匹舞いだした」と連絡がありましたから、阿原には絶えることなくホタルが自生し続けています。これは愛護会の目的でもある「自生に向けた幼虫の放流」の成果として挙げられます。
あとは、細々でもホタルを絶やさず今日まで毎年町内数か所でホタルの光を観賞出来るよう愛護会が図ってきたことでしょう。


 愛護会では、より良い自生環境を探したり、造ったりして30年の間に放流場所も試行錯誤してきました。当時、愛護会で確認してきたことは、連続して数100匹のホタルの乱舞が見られるようになったら「ホタル夜会」を計画して、昭和のホタル復活をアピールしようと云うことでした。
「この程度の数では、恥ずかしくて・・・」と云うプライドが、かつての昭和のホタルを知るメンバーには共通していました。


 平成になってブームのように広がった「ビオトープ」は、昭和町でも全学校に造営され「学校でもホタルを」となりましたが、所詮は人口自然園ですから人間の思うようにはいきませんでした。
暑い甲府盆地の夏は、公園に水と親しむ噴水や池、流路と云った親水広場は欠かせませんから、昭和町の押原公園にも親水広場が出来ました。昭和町ですと「蛍」もプラスされますからビオトープ的な水路も造られました。
この押原公園がオープンしたことにより始まったのが「昭和町ホタル夜会」でした。それは、ホタルの発生数が飛躍的に多くなったからではなく、押原公園の利活用の一環からでしたから、肝心なホタルは・・・・で再考を余儀なくされた結果、当館とNPO楽空で開催していた「杉浦醫院ホタル観賞会」との一本化でした。


  昭和の源氏ホタルが国の天然記念物に指定されていた時代、杉浦健造氏は「杉浦醫院ホタル観賞会」を毎年6月に県内の名士を自宅に招待して開催していましたから、当館でも裏の車庫を利用して幼虫の飼育をNPO楽空と始め、5月末に「杉浦醫院ホタル観賞会」を復活させました。

 庭園の池の環境が良いこともあって比較的たくさんの成虫が舞い、手づくりの観賞会にも多くの方々がみえましたので、愛護会の幼虫も杉浦医院に放流して、夜会に一本化して・・となり4回目を迎えます。


 さて、今年のホタルは? 毎晩見守り活動をしてくれている杉浦精さんの昨夜の確認では、1,2匹ですから、明日も数的にはあまり期待が持てません。それでも7時から始まる和太鼓やオカリナの演奏で、眠っていたホタルも舞いだすやもしれません・・・し、昭和のホタルは「これからが最盛期になります」のアナウンスイベントとして、親子でお楽しみくださいますようご案内いたします。